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広島に私を運ぶ手紙の風

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8月6日9日は原爆の日。広島と長崎に原爆が投下された日であります。
皆さんはご存知でしょうか?原爆投下の広島にいち早く咲いた花を…。
それは【カンナの花】です。広島、原爆、と言えば夾竹桃が有名で県の花にもなっていますが、原爆投下の焦土にいち早く咲いた花はカンナだったのです。しかも爆心地からわずか800メートルという地点に…!
……これは、今から62年前のお話です……
当時、原爆は全く未知のもので、投下後も人々を恐怖のどん底に突き落とし続けました。
落とした側もどんな効果があるか調査に余念がありませんでした。
米軍司令部から命令を受け、当時、朝日グラビアの記者であった松本栄一さんも、8月末から9月にかけて、長崎、広島を取材していました。広島に入ったのは、9月半ば。建物の現状を記録に残すという任務でした。その頃フィルムは貴重で、一枚たりとも無駄にはできないのが現実、瓦礫の中をシャッターをきりながら歩いたのです。
そんなある日、絶望の大地に花が咲いているのがふと目にとまったのです。【カンナ】でした。爆心地からわずか800メートルの廃墟に一株の【カンナ】が、ギラギラと照りつける太陽に向かってスクッと咲いていたのです。【真っ赤なカンナ】でした。松本栄一記者は思わずシャッターをおさずにはいられなかった……と記録しています。
このフィルムは、そのあと司令部には渡さず、隠し持っていたのです。
……時は流れ平和な世がもどり、このフィルムも公開されたのでしょう。一枚のパネルとなり、原爆資料館の地下室に安置されたのです。時代は平成になり14年。当時の資料館の館長畑口實さんは「資料館を訪れた人々が原爆の悲惨さに打ちひしがれ、悲しみ、絶望を抱いて資料館を後にするのは忍びない…せめて希望を持って帰ってほしい」との考えから、館の出口に『カンナ』のパネルを掲げた…。地下室のほこりだらけのたくさんの資料の中からカンナのパネルを見いだしたのです。
2005年、平成17年秋。日本人として一度は訪れなければいけないと思っていた原爆資料館に一人のマナー講師がいた。悲惨な展示。目を覆いたくなる写真。血の赤と焦げた黒、どんよりとした灰色の世界に打ちひしがれそうになりながら見学した。そのまま外にでることができないでいた。
すると、館の出口に何か銀色に光るものが見えた。
「75年は草木は咲かないといわれた広島に花がさきました」と書いてありました。それをみたマナー講師(私)はようやくホッとして館をあとに帰路につくことができた。
【カンナ】の写真でした。しかし、この事実を知る人は全くと言うに等しいほどいなかったのです。……

マナーを日本文化の伝承として捉えてきた私は、陰陽五行や神道、着物の文化、能、文楽、歌舞伎なども、日本人の心得として、たしなみとして、そのマナーをお伝えできたらと考えています。
ことに、敷居の高い浄瑠璃、なかでも、難しい義太夫の伝承にここ数年力を入れて参りました。創作浄瑠璃として『土地に伝わる話』を調査し七作のCDも作りました。そのひとつにこの広島の【カンナ】の話を伝えています。知り合いのいない広島の地で発表したのは三年前です。今では2〜30人の方々が身近で親しく応援して下さいます。そんな人たちのお陰でボランティアで頑張ることができます。
ある方から「あなたの情熱と、一枚一枚心を込めて書いた手紙の力が皆の心に伝わったのだ」といわれました。
私は、一夜に何人もの方々にお礼状を書きます。一人ひとり文面の違う手紙は時として、夜を徹してしまうことがあります。それでも、その方々から頂くお心に比べたら、十分とは言えません。心許ない限りです……。その方のおっしゃるように、気持ちが伝わったとしたらこんなうれしいことはありません。
手紙のマナーでは、形式や構成をお伝えするのも大事ですが、それ以上に『手紙はその人自身を運ぶもの』だということをお伝えしたいと思います。これは草柳大蔵さんの言葉ですが。『手紙は書くものではなく運ぶものだ』と……。『文は人なり、手紙は風なり』とも教えて頂きました。
今日も、8月6日広島でお世話になった皆様に、「私の気持ちを運んで下さい」と願いを込めてポストに入れたところです。


冠婚葬祭マナーコンシェルジェの日記 作者 usagi カテゴリーマナー(手紙)

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フォト : イメージ写真 カンナの花

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2007年08月20日 08:34に投稿されたエントリーのページです。

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