
実家の掃除をしている時に、古びた茶色の箱の中から父のサングラスや
アームバンドといっしょに懐かしいものが出てきました。十数年前に私が
両親に宛てたカナダからの便りです。
7ヶ月間だけですが、異文化の中で暮らしてみたくて滞在していたカナダは、
私にとっては新しい人生の起点となった所です。雄大なカナディアンローッ
キーマウンテンや神秘漂う湖、冬には街を包み込む雪の美しさ・・・など、
絵葉書の表半分に仕切られたわずかなスペースに、その時の感動が短い
言葉で綴られていました。時候のあいさつも、安否を気遣う言葉も省略。
いきなり本文から始まり、締めくくりに「またお便りします。」という一方的な
近況報告。なんて独りよがりな書き方かしらと思いながらも、今、自分で読
み返しても胸のときめきがリアルタイムのように甦ってきます。当時私の両
親はどんな思いでこの葉書を読んでいたのでしょう。きっと、この短い文章
を繰返し繰返し読んでいたのでしょうね。現在病院で療養中の父の耳元で、
さっそくこの話をしてみました。
目を閉じたままの父は、わかってくれたかな・・・?
簡単な葉書でも、喜びや感動を伝えることができる。十数年という
時間を経ても、再び手に取って思い出を読み返すことができる。
葉書は封書に対して略式とされてきましたが、携帯電話に象徴されるよう
に通信手段が豊富な現代では存在価値が高くなっています。文章を巧み
に書けなくても大丈夫。自分の感じたままを、飾らない自分の言葉で、
相手を思いながら綴れば、心を届けることができるのです。
当時カナダからは、時折、友人たちに手紙を封書で出していたのですが、
今それを読み返すことができたら・・・、
これもまた楽しいでしょうね。
冠婚葬祭マナーコンシェルジェの日記 作者 Nyan カテゴリー マナー(手紙)
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