八朔(はっさく)

旧暦8月1日は「八朔(はっさく)」といいます 。「八朔」とは八月朔日(朔日はついたちの意)の略です。この頃には早稲の穂が実ることから、古くより農民は五穀豊穣を祈るとともに、初穂を恩人などに贈る風習があったといわれています。八朔は「たのみの節句」などともいわれますが、これは「田の美(たのみ)」すなわち稲の実りのことをさしています。さらに、この「たのみ」を「頼み」の意に転じて武家や公家の間でもお世話になっている人へ感謝のしるしとして贈り物をするようになったといいます。八朔は、このように民間から次第に武家や公家へと広まっていった行事のようです。
私が興味深く思っているのは、京都の八朔です。京都の花街(祇園・甲部、先斗町、宮川町、上七軒、祇園東・乙部)にも、この「頼み」の風習が残っています。花街の八朔の行事は、江戸時代に祇園が栄えてきた頃に始まったと聞いていますが、八朔は芸妓さんと舞妓さんが日頃お世話になっているお茶屋さんや芸事のお師匠さんに挨拶をして回るという重要な日なのです。京都の夏は暑い上に、日中に挨拶回りをするというのは大変なことですね。
花街の八朔については観光のために特に紹介されてはいないということですが、それでも、ひと目でも観たいと多くの人たちが集まってくるそうです。特に大石蔵之助が遊んだという祇園の花見小路にある一力茶屋の前は、カメラを携えた人たちで大変な賑わいになるのだとか。当日の芸舞妓さんたちは黒紋付の正装。私は4月の「都をどり」を観に行ったことがありますが、歌舞練場へと続く花見小路を歩く気分は不思議な華やぎがあるものですね。その「都をどり」の際に、お茶を点てる黒紋付姿の芸妓さんを目の前に開演前のひとときを過ごすというのは格別なものでした。同じく八朔にも黒紋付を身にまとった芸舞妓さんたちが「おめでとうさんどす」と花街を巡ってゆくのです。この様子を観れば、きっと芸舞妓さんたちの、長い歴史の中で育まれてきた文化を継承していることへの誇りが圧倒的な美しさとなって感動させてくれるでしょう。
それにしても、この時期は暑さも最高潮。頑張る京都の芸舞妓さんたちの凛とした姿もさることながら、「朔日(はっさく)」という音の持つ夏風が吹き抜けていくような語感に、身も心もシャキッと元気になる、そんな爽快さを感じませんか。
冠婚葬祭マナーコンシェルジェの日記 作者 Nyan カテゴリー 年中行事しきたり
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フォト : 祇園花街・八朔より
http://www.e-kyoto.net/today/2001/08/01.htm




















