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「一雨 千山を潤す」

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「一雨 千山を潤す」(いちう せんざんをうるおす)
---この六月の季節によく目にし耳にする言葉である---

 梅雨は五月雨と呼ばれ、恵みの雨として長く降り続く、がしかし、時には災いの雨となることもある。
 古くは民の嘆きに、鎌倉幕府三代将軍の実朝はその家集「金塊和歌集」に「時によりすぐれば民の嘆きなり、雨やめたまえ、八大龍王」と詠んで、雨乞いの神の八大龍王に雨のやむことを祈願している。現代も集中豪雨に見舞われ、予報は聞いていてもうらめしく空を眺めたりと、被害の無きことに胸をなでおろす。
 6月20日小間席の茶室は大自然の中に身を置くごとくに、主・客、一座建立して、和の生活文化を楽しむ。まず目にする床の墨跡は「一雨潤千山」、花は里山に咲く半夏生とガク紫陽花、竹のかごに野にあるごとくに…と、香合はなんと傘である。水指は種壷(見立てである)芒種には種壷の種をもみ、田に植えている。茶碗の黒楽にたっぷりと練られた濃茶は、大自然、宇宙そのもの。なんとおいしいことか… 菓子は水無月(古来より、夏越に食することで無病息災を祈るとされている)、茶杓は席主の手づくり、銘は早苗、田んぼの早苗も日に日に成長している。茶室は自然の恵みそのもの、この季節をイメージして楽しむ。まさにパズルを解くごとくに、席主の想いを、おもてなしを、心で、目で耳で、香りを舌で味わいおもんばかる。続いて薄茶、朱色の日の丸棗から、一碗一碗心のこもった点前である。干菓子は香りとり石と和三盆の水は美しい水辺を想像させる。席主の着物は紋付の無地、男性の礼装は陽紋(染め抜き)袴を着用する。私は、陰紋(ぬい紋)のぼかしの無地、準礼装となる。正客は男性、詰めには茶道の心得のある人が望ましい。席主と正客の会話、やりとりにて、席中は和み、道具組みからの今日の席主の想いが伝わり、イメージがふくらんでくる。日本の原風景、朱の日の丸棗は陽の恵み、雨に潤い太陽が成長を促し、やがて収穫の時が訪れる。「喫茶去」(唐代の禅師のことば)はよく目にする言葉。「まあ、お茶でも一つ、一緒にのみましょう。」一服のお茶をいただくと、心が和み穏やかになるという教えである。作法を知ることで、やがて楽しみが訪れる。経験を重ねることで席主の想いを慮り、言葉を発するまでもなく、席主の今日の心入れが伝わってくる、和の文化、生活文化は心・精神文化でもある。
--- 家はもらぬほど、食事は飢えぬほどにてたる事なり、これ仏の教え、茶の湯の本意なり、水を運び、薪をとり、湯を沸かし、茶を点てて仏に供え、人にも施し、吾ものむ、花をたて、香をたく。みなみな、仏祖の行ひのあとを学ぶなり--- 南方録より

冠婚葬祭マナーコンシェルジェの日記 作者Rainbow カテゴリー 季節の話題

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イラスト : 梅雨

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2009年06月30日 09:12に投稿されたエントリーのページです。

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