
お正月は日本にある年中行事の中で最も特別で素晴らしい行事です。門松を立て、神棚にしめ飾りを張り、床の間に鏡餅を供える。これらはすべて歳神様というお正月の神様を迎えるための設(しつら)えなのです。最近は段々と簡略化されつつありますが、十二月に入りますとスーパーやデパートなどではお正月用のお供え物の見本が必ず展示されます。
おせち料理とは本来は歳神様へのお供物(くもつ)で、かつては年に5回ある節句(人日〔じんじつ〕、上巳〔じょうし〕、端午〔たんご〕、七夕〔たなばた〕、重陽〔ちょうよう〕)のお供え料理すべてを指す言葉だったのですが、今日では 「おせち」と言えばお正月料理のみを指すようになりました。おせち料理をお正月に食べるようになったのは、歴史の中で伝承されてきた、歳神様はお料理を供えてもらったかわりに私たらに新しい生きる活カを与えてくださるという神道の考え方が基本になっているのです。
<おせち料理とその意味>
一の重:祝い肴・口取り
(イ)紅白かまぼこ(赤は魔よけ、白は清浄)
(ロ)数の子(子孫繁栄)
(ハ)黒豆(健康・勤勉・まめまめしいに通じる)
(ニ)きんとん(金運)
(ホ)昆布巻(喜ぶに通じる)
(へ)伊達巻(文化繁栄)
ニの重:焼き物(海の幸)
(イ)鯛(めでたいに通じる)
(ロ)鮭・ぶり(歳神様に供える年取り魚)
(ハ)海老(長寿)
(ニ)イカ(飾り切りにして松笠に見立てる)
三の重:煮物
(イ)里芋(子孫繁栄)
(ロ)くわい(芽が出る)
(ハ)八ツ頭(万事人の上に立つ)
(ニ)椎茸(松に見立てる)
(ホ)竹の子(竹に見立てる)
(へ)人参(梅型に作る)
(ト)その他、ごぼう・蓮根など
与(よ)の重:酢の物
(イ)紅白なます (祝いの水引に見立てる)
(ロ)酢蓮根 (将来の見通しがよくなる)
(ハ)菊花蕪 (無病息災など)
五の重:控えの重
何も入れない (繁栄の余地があることに通じる)
地域により少々異なりますが、食材には上に記したようにそれぞれを使う意味とともに良いいわれがあるのです。
このように様々な縁起ものをあしらいつつ一品一品を手作りすること自体に儀式的な意味合いがありましたおせち料理は、かつては除夜の鐘とともに神棚に供えてから一家で食したものですが、現在は少しずつ古い習慣が消えていく中で昔から続くおせち料理の型も薄れ、生活の豊かさや多様性を反映してでしょうか、高級料亭のものや洋風のもの、また中華のおせち料理など目新しいものも現れて私たちに選ぶ楽しみや賞味する喜びを与える反面、伝統のおせち料理を手作りするご家庭が減少しつつあるのはまた残念でもあります。
これらのお料理は古来より日本にいらっしゃる神様への供御(くご)なのですから、そこには多少の変化こそあれ、私たち一人一人がここに息づくしきたりの心を感じ、これから始まる新しい一日へ大切に取り入れてみてはいかがでしょうか。きっと私たらの暮らしがより彩りのある豊かで素晴しいものになるのではないかと思われてなりません。
冠婚葬祭マナーコンシェルジェの日記 作者 Angel カテゴリー 季節の行事
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イラスト : おせち