
箱根仙石原の湿生花園の女郎花(オミナエシ)が見頃である。ワレモコウもそろって楽しめるとの情報をいただく。また、秩父の七草寺では、秋の七草を七寺にそれぞれに植え、それらの花々を持ち寄って供養する。毎年情報をいただくのに、訪れることが出来ずに、秋草に思いを馳せる。
古来から日本人に親しまれ、その姿を写しとり、万葉歌に装束に、家具調度品にと、日本人の美意識を重ねて親しみ、今に至っている。
夏の盛りに国立能楽堂のコレクション展に足を運ぶ、その折の能装束の素晴しさに目を奪われたのである。桃山時代の装束から、特に江戸時代の装束の華やかな色と文様が、迫力いっぱいに語りかけてくる。白地に金箔で女郎花・桔梗・萩・薄のすり出しは、やさしく風に揺れる姿の草花を写している。豪華絢爛な能装束で、幽玄な霊の世界を静かな動きから表現する能。納涼能での女人装束は、離れて全体像を役に重ねて楽しむことが出来たが、目の当たりに存在するその色と文様の見事さは、古代人の草花に寄せる思いが今も伝わってくるようであった。「網代撫子文様」の見事さなどは、はるかに能楽を通して楽しむのはこの上ないことと。舞台上の能役者の装束をつけた姿を想像した次第である。
奈良時代に、山上憶良が秋の野の花を詠んでいるのは有名である。この秋草が美術品にあらわれるのは平安時代になってからのこと。桃山時代を経て、文化の大成は江戸時代に及んだ。先人の残した、豊かで美しいこれらの品々は後世に残されていく。
季節をいとおしみ、様々にゆだねることの出来る幸せを感じている。
「秋の野に咲きたる花を指折りかき數ふれば七種の花。萩の花尾花葛花なでしこの花女郎花また藤袴朝がほの花」 (「万葉集」岩波文庫)
冠婚葬祭マナーコンシェルジェの日記 作者 Rainbow カテゴリー 季節の話題
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フォト : 女郎花